
【大阪、名古屋からフェリーで北海道へ向かうひとり旅】
- 大阪・難波の街歩きと特急ひのとりで名古屋へ|大阪、名古屋からフェリーで北海道へ向かうひとり旅1
- 名古屋駅から栄の新しいランドマークビルまで夕暮れの街を歩く|大阪、名古屋からフェリーで北海道へ向かうひとり旅2
- 熱田神宮から名古屋港へ、出航前の時間を歩く|大阪、名古屋からフェリーで北海道へ向かうひとり旅3(このページ)
朝からひつまぶしにどて煮、エビフライ、小倉トースト。ホテルの朝食は名古屋メシを中心に並んでいた。完全に食べすぎた。チェックアウトまでに時間があるので、部屋で少し横になって休むことにした。
昨夜は、ホテルから歩いて10分ほどの「手羽先むつみ」というお店で手羽先を食べた。提灯にのれんが掛かった、雰囲気のある店構え。事前に予約していた店だ。ひとりカウンター席に座る。瓶ビールと、手羽先の白、黒、赤、そして、「ぼんぼん」という名の手羽先版のチューリップを注文した。人気店のようで、すぐに満席になった。
「ぼんぼん」は、塩こしょうに添えられたレモンを軽く絞っていただく。噛むごとに爽やかな脂が口の中に広がる。手羽先の黒は、甘ダレが絡んだコク深い味だった。その後にビールを流し込む。揚げた手羽先は、胃に来るかと思いきや、その気配すら感じない。店を出て、夜の名古屋の街を歩きホテルへ戻った。思い出すだけで、また一杯飲みたくなる。
旅の準備を整え、午前10時過ぎにホテルをチェックアウトし、地下鉄栄駅へ向かった。フェリーターミナルを目指す前に、熱田神宮へ立ち寄る予定にしていた。午前の街は、昨夜とはまた違って見えた。人の流れも多くなく、街はわりと落ち着いていた。錦通りを東へ500mほど行くと、左手に中部電力MIRAI TOWERが見えてくる。錦通りと久屋大通の交差点脇にある、栄森の地下街への出入り口から地下へ降りた。
地上とは一変し、明るい照明の下に小さなショップや飲食店が並んでいる。人の往来もある。「地下鉄名城線」と記された案内板に導かれながら歩く。進んでいくと名城線の改札が見えてきた。改札を通り、さらに深い階層へ降りる。2番ホームに入線してきた地下鉄名城線の左回りに乗った。初めて利用する交通機関は不安な点も多いが、ここまでは珍しく順調だ。ピークだった人波が、途中の金山駅でどっと入れ替わり、車内の空気が少し軽くなったように感じた。
ほどなくして、「熱田神宮伝馬町駅」に到着した。地下鉄を降り、階段を上がって1番出口から地上へ出る。15分ほどの地下鉄移動を終え、熱田神宮の正門へ向かう。国道一号線から脇道へ折れる。さらに進むと、正面に両脇を木々に囲まれた木造の鳥居が静かに現れた。厳かで、奥行きの深さを感じさせる佇まい。
鳥居の手前で一礼をして、神域へ足を踏み入れる。背の高い木々が枝を広げ、参道を守っているようにも見える。都会の中にありながら、音が消えたような空間だった。そこに境界線のようなものを感じる。空気が変わった気がした。歩みを進めるにつれ、緑が一段、深みを増す。木々の隙間から漏れる陽の光がまだらに参道へ落ちる。本宮へ続く道には、ピリッとした緊張感と、どこか懐かしい心地良さがあった。
二の鳥居をくぐった先にある手水舎で清める。左手に大楠を過ぎ、三の鳥居をくぐると、それまで木々に囲まれていた視界が左右に開ける。そこには、本宮が凛と佇んでいた。拝殿を前に、自然と背筋が伸びる。呼吸を整え、二礼二拍手一礼。参拝を終え、しばらく境内を歩く。くさなぎ広場にあるきしめん屋へ向かう。屋根付きテラス席できしめんをいただいた。出汁と鰹節の香りが、鼻腔をくすぐる。朝食を食べ過ぎたことを思い出す。名古屋メシはまだ続いていた。
神宮周辺を少し歩いたあと、JR熱田駅から名古屋駅へ戻った。北海道へ向かうため、名鉄バスセンター17時発の、名古屋港フェリーターミナル行きの直行バスの乗車券を購入する。
陽が傾きかけるラッシュ時間。名鉄バスセンターを出発したバスは、名古屋の市街地を抜け、南へ向かう。乗車時間は40分弱。バス左側の座席から見える車窓は、高層のビル群から、大型トラックや倉庫が目立つ港湾地区へと変わっていく。都会の喧噪から、重く低い金属のような音が響く。
その矢先、左手に停泊しているフェリーが見えてきた。荷物を積み込み、出航の準備が進んでいた。
ターミナルに到着すると、フェリーの大きさに圧倒された。しばらく立ち止まり、見上げる。スマホのカメラには収まりきらないほど、大きかった。
乗船が待ち遠しい。
ここから、時間の流れが少し変わる。
【移動と滞在のひとり旅アーカイブ】
今回の「移動と滞在」の中で、私の心に静かに残った場所や宿泊先、旅を支えてくれたものたちの備忘録です。
移動の足跡(宿泊先・立ち寄った場所)
● 天然温泉 錦鯱の湯 ドーミーインPREMIUM名古屋栄
・所在地:愛知県名古屋市中区錦2丁目20-1 [Google Maps]
・宿泊メモ:名古屋駅や名古屋城までは徒歩30分弱。地下鉄伏見駅と栄駅の中間にあり、街歩きの拠点として使いやすい場所にある。
トロミのある温泉とサウナがあり、歩き疲れた身体をゆっくり休めることができた。都会の中に真ん中にいながら、静かに過ごせるのも良いところだと思う。
周囲には飲食店も多く、夕食にも困らない。夜は御馴染みの無料の夜鳴きそば、朝は名古屋メシの朝食。こうした小さな楽しみがあるのも、この宿の魅力だと感じた。
● 手羽先むつみ 本店
・所在地:愛知県名古屋市中区栄3丁目8-125 [Google Maps]
・立ち寄りメモ:プリンセス大通から少し路地に入ったところにある、提灯とのれんがかかる雰囲気のある店構え。カウンター席もあるので、ひとりでも利用しやすい。
「手羽先」、「ぼんぼん」は、黒・白・赤の三種の味付け。今、文章を書いていても、また食べたくなる。一品料理も良かった。時間とともに席は埋まっていくので、予約をして訪れるほうが安心できそうだ。
● 熱田神宮
・所在地:愛知県名古屋市熱田区神宮1丁目1-1 [Google Maps]
・立ち寄りメモ:皇位継承のしるしとされる三種の神器の一つ、草薙神剣を御神体として祀る神社。今からおよそ1900年ほど前、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が亡くなった後、その妃である宮簀媛命(ミヤズヒメノミコト)が、草薙神剣をこの地に祀ったのが始まりとされている。
樹齢千年を超える大楠は、その歴史を見てきたかのように、圧倒的な存在感があった。「宝物館」や「剣の宝庫 草薙館」には、刀剣をはじめとした歴史的な収蔵品やコレクションが展示されている。
参道には売店や飲食店もあり、観光地としての側面もあるが、都会の杜の中で、1時間ほどゆっくりとした時間を過ごすことができました。